「占術」とは何なのか?占いの基本
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「占術(せんじゅつ)」とは、占いの方法を言います。
ここでは、占いや占術とは何なのか?という基本的な部分を簡単に説明します。
この記事以外の「占術」カテゴリの記事を読む上での基礎知識的な記事です。
また、個々の占いをどうやるのかというテクニック的な点を詳細に語る事はしません。
この記事を読めばわかりますが、占術を使った占い自体は程度を問わなければ「誰でもできます」。
またこの記事は占いをオカルト・スピリチュアルではなく、文化として考えています。
ですから私は、占いの結果を否定も肯定もしません。
占いの三大術「命術」「卜術」「相術」
占いを行うための方法「占術」には大きく三つの方法が存在します。
それが「命術(めいじゅつ)」「卜術(ぼくじゅつ)」「相術(そうじゅつ)」の三つの方法です。
これらはどれもが長い歴史の中で様々な形態を取りながら成立してきたもので、今日もまた新しい方法が編み出され続けています。
現代のように科学が発達しておらず、週間天気予報なんかも存在しない古代においては、占いというのは国の政治に関わる非常に重要な技術であり学問でした。
戦争の勝敗のような沢山の人の命が関わる事でさえ、未来を占術によって先読みし、より良い方向へ舵を切りたいと願ったのです。
それでは「命術(めいじゅつ)」「卜術(ぼくじゅつ)」「相術(そうじゅつ)」の三つの占術について、簡単に解説します。
生年月日等の因果を見る「命術(めいじゅつ)」
「命術(めいじゅつ)」
- 四柱推命(しちゅうすいめい)
- 各種占星術(西洋・インド・宿曜(しゅくよう)など)
- 算命学(さんめいがく)
- 数秘術(すうひじゅつ)
- 九星気学(きゅうせいきがく)
- 紫微斗数(しびとすう) などなど…
命術は基本的に生年月日を元に占います。
数秘術(すうひじゅつ)のように出生時間や出生地が不明でも占えるもの、四柱推命(しちゅうすいめい)のように出生時間が不明でも不完全な状態で占えるもの、西洋占星術(せいようせんせいじゅつ)のように出生時間が不明でも出生地が必要なもの、そしてインド占星術のように出生時間も出生地も必要なものなど、一口に命術と言っても色々あります。
流派や方法は様々ですが、便利なネット無料占いもありますので、コツを学べば誰でもできます。
しかし古い時代の占星術は自力での軌道計算が必要なので、誰でも手軽に出来るようなものではありませんでした。
また、占星術の起源は古代オリエント(古代エジプト・メソポタミア)と言われており、古代オリエントの占星術形式が一番近い形で残っているものは西洋占星術だと思います。これは私の主観ですし、的中率とかの話はしてません。
命術についてはそれだけで膨大な考察ができそうなのでまたやります。
その日その時その場所で、偶然の因果を見る「卜術(ぼくじゅつ)」
「卜術(ぼくじゅつ)」
- タロット
- オラクルカード
- 易(イーチン)
- 六壬神課(りくじんしんか)
- おみくじ
- ルーレット
- ルーン などなど…
卜術が重視するのは「その日その時その瞬間にその占いをした必然性」です。
この考え方の基礎には「偶然という出来事はこの世には存在しない」というものがあります。
全ての瞬間が必然という考え方は、私達に身近な仏教の基本的な考えと同じです。
その点で言ってしまえば、タロットカードやサイコロなんて必要なく
「今日最初に見た車が黒だったら今日はラッキーデー♪」
これも立派な卜術となります。
卜術は世界で最も原始的な占いであり、世界中のあらゆる地域に何らかの卜術の痕跡が存在します。
タロットカードや易占(えきせん)、ルーンなどは、この偶然性に対してそれぞれの出目に詳細な意味を持たせることで発展させたものであると思います。
現代で占い業をされている方は、この卜術は、先に紹介した命術やこれから紹介する相術と組み合わせる方が多いです。
そのものの姿かたちを見る「相術(そうじゅつ)」
「相術(そうじゅつ)」
- 手相
- 顔相
- 風水
- 姓名判断
- 印相 などなど…
これは特定の体の部分の形などから見る手相顔相や、名前の画数を見る姓名判断、方角や間取りで判断する風水や家相など、「現在そのものがどういう状態であるか」を見る方法です。
余り知られていませんが、顔相は西洋にも存在します。
基本的には、現在変える事が困難な要素から判断する占いですから、メンタルの弱い人にはおすすめしません。
これは姓名判断以外は手軽に今すぐネットで判断♪が一番困難な占術だと思います。
人や本によっても微妙に言う事違うしなぁ。
生年月日って同じ人が大量にいるよね?(命術)
これは命術を使う占いでよく言われる疑問のひとつです。
まず、上記に上げた命術の中で四柱推命(しちゅうすいめい)や数秘術(すうひじゅつ)等では、同じ生年月日+時間に産まれた場合、原則として同じ結果になります。(ただし流派により結果が変わります)
これが、出生地という要素が加わる占星術では、出生地座標の要素で結果に違いが出てきます。
西洋占星術やインド占星術等では、産まれた瞬間に地球上のその位置から見た天体の位置で占いますので、同じ生年月日でも結果にズレが生まれます。(占星術ではその中にも更に様々な派生占術が存在するので、説明すると長くなるのでここでは省略します。)
「じゃあ双子はどうなのか?」
西洋占星術では双子はチャート(運命を表にしたもの)を2分割すると言われていますが、具体的な方法は明示されていません。これは、明確には確立されていないと見てもいいかと思います。
元々占星術は、国家等の政(まつりごと)に使われていたものが一般市民の運勢占いに下りたというものですし、双子に対する対応がいまいち宙ぶらりんなのは仕方ないのかもしれません。そもそも個人の運勢占うためのものじゃなかったんだし。
インド占星術では一応、インド占星術の第一人者であるKNラオ氏により、双子の場合のチャートの見方が提唱されています。
インド占星術・西洋占星術、共に実は複数のチャートを使用して詳細に占うことが出来るのですが、この「出来る出来ない」の違いは、インドでは占星術を学問の一つとして捉え、一部の大学のカリキュラムに取り入れていたり研究をしている事も関係しているかもしれません。占いに対する文化的背景もあると思います。
同じ内容を何度も占ったらどうなるの?(卜術)
これを占術上のルールとして明確に禁止扱いにしているのは中国初の「六壬神課(りくじんしんか)」や「易占(えきせん)」です。
どちらもこれをすると「質問が穢れる」と表現し「神の怒りを買う」と言います。
六壬神課(りくじんしんか)では日を改めればOKとの考え方もあるようですが、
「易占(えきせん)とは、目に見えない高次元の神に未来を教えていただく行為なので、何度も同じ質問を繰り返すという事は、神に対する不信である」
という考え方のようです。
一方、タロットやオラクルカードにそのような明確な統一ルールは存在しません。
これにはいくつかの理由が考えられますが、六壬神課(りくじんしんか)や易占(えきせん)の背景には古代中国の「神様」の存在と陰陽五行思想(おんみょうごしょうしそう)があるためと思われます。
陰陽五行思想というと、宇宙のすべてのものは5つの属性に分けて考えられるという考え方です。
陰陽五行は安倍晴明とかその辺が連想されますが、大元を辿っていくと古代中国の思想であり、それは万物を象徴する神への信仰です。
神とは恩恵をもたらす存在であると同時に、畏怖(いふ)すべき存在であるため、六壬神課(りくじんしんか)や易占(えきせん)には厳密なルールが敷かれているのだと思います。
ほら、社長に明日の予定聞くのと一緒だよ。
社長室に窓から侵入したり、同じ質問何度もするの失礼でしょ…。
恐らくタロットも同じような起源だと思うのですが(起源は不明とされています)、こちらはこのような厳しいルールは無いようです。
もしかすると現在判明していないだけで、元々は厳格なルールがあった可能性もあります。
また、オラクルカードは現在次々新しく作られて出版販売されており、種類も非常に多岐に渡りますので、無数にあるオラクルカードの中には厳格なルールを課しているものもあるかもしれません。
というかこの話の本質はルールがどうとかではないと思います。
同じ質問を繰り返す精神状態の方が問題です!
なので、同じ質問を繰り返したい・繰り返してしまうようなときは、逆に占いなんてしないほうがいいですよ。
“相”なんてどうしようもない!(相術)
相術の結果は今すぐ変えられない物がほとんどなので、占いを信じていてかつメンタルの弱い人は動揺します。
姓名判断の結果が悪かった場合の印鑑商法は、昭和中期以降に発生した一種の商法でしかありません。
信じる者は救われるかもしれないのでその是非は問いませんが、こういった事には「なんで?どうして?」という疑問を持ちましょう。
手相、顔相などの相術は、意外にも古い歴史を持っています。
日本には中国を渡って流入したので、中国の思想が織り交ざっていますが、手相の起源は古代インドであると言われています。(諸説あり)
実は占星術に匹敵するほど古い歴史があるのですが、恐らく天体の軌道計算などが必要ないことから、かなり古い時代に西洋を含む全世界に広がっています。
今の世の中だと占星術の自動計算が簡単になってしまったので、逆に手軽さを失った感じありますが…。
世界にはこれ以外にも無数の占いがある
以上、大まかに三つの占術について説明しましたが、
実は他にも占いの方法はあります。
例えば降霊術(こうれいじゅつ)・交霊術(こうれいじゅつ)なんかがそれにあたりますね。
死者の霊を呼び寄せて、何かの質問に答えてもらおうという方法です。
霊ではなく神や悪魔の場合も存在しますね…。
降霊術は日本は勿論、世界中に存在しますが、古代西洋での記録が特に盛んで、日本と関連の多い中国にも存在します。
中国での降霊術でポピュラーなのは自動書記(目に見えない何者かに操られた手が勝手に字を書く)であり、自動書記は日本にも存在しますし、西洋にも存在します。
こっくりさんなんかも、自動書記の一種です。
これは人間の霊である場合も、神である場合もあります。
今日も読むことが出来る書物として残っている有名なもの(預言書とか)は、た~くさんあります。
ただ、ここまでくると心霊要素が大きすぎて、占いと言うより予言とか預言とかそっち方面の毛色が濃くなってきます。
これらは誰でも出来る身近なものではありませんし、脱線甚だしいので、ここでこれ以上説明することは控えます。
数々の占いが現代までの世界を支えてきた!
妖しさ大爆発の降霊術(こうれいじゅつ)は、現代だからそういう感覚で見る訳ですが、古い時代の人々はそのような感覚では見ていませんでした。
神や祖霊や精霊の存在を心から信じて、自分よりも高度な存在と認識している彼らの判断や指示を「占術」を使って仰いだのです。
その“畏れ(おそれ)”の感情は、特に易占(えきせん)のタブー「同じ質問を繰り返さない」によく表れています。
そして令和の今日でも、国や地域、むしろ人によっては降霊術であっても当たり前のものだったりするのです。
占いには三大術式に関わらず、内臓占いのような過激なものからネット占いのような無料で手軽なものまで無数にありますが、どの占いであっても大切な文化です。
毎日のちょっとした占いなら、毎朝のニュース番組やファッション誌ですらお目に掛かるほど、私達にとって身近なのです。
古代日本でインスタント感覚で行われた辻占という占いや、こっくりさんですらも、文化として学問研究されてしまう現代。
もしかしたら遠い将来、インターネットやSNSに溢れる簡単な占いが、クソ真面目に文化研究される日が来るかもしれないですね。
参考文献
「占星術の起源」森谷リリ子
「古代メソポタミア占星術」マイケル・ベイジェント (著), 倉本 和朋 (訳)
「オカルト万華鏡」流水りん子
「占い大辞典」浅野八郎
「辻占の文化史」中町泰子
「双子のホロスコープはジェイミニ「ナヴァーンシャ・ダシャー」で読め!」サチン・マルホットラ, KNラオ, (訳)清水俊介